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流れ星の辿りつく場所

MMORPG「エミル・クロニクル・オンライン」内での出来事や管理人の創作物を徒然なるままに書き記すブログです。

昔語り3-3

SS3話 後編

前編
中編


爆発音が耳に届いて。
全身にくるはずの衝撃が感じられず、代わりに気づいたのは自分を包む腕と蒼い髪。
「ぇ・・・・」
生温かいものが腕に伝う。
赤い、赤い、血。
「垃圾・・・さん?」
「無事か・・・」
あんな爆発をまともに受けて尚、私を心配する彼。
「ぁ・・・血、血がいっぱい・・・。止まらないよ・・・」
ここは水の中だ。止血しようにも血がどんどん流れてしまう。
水は容赦なく彼の血を奪っていく。冷たくなる体、少しずつ自分にもたれかかる体の重み。
「ぃゃだ・・・垃圾さんっ!」
こんな状態になっても、私に攻撃が当たらないように抱く手を緩めないでいる。
垃圾さんの体を通しても、衝撃が伝わってくるのだ。
直に受けている彼の痛みは相当のもののはずだ。
「離して・・・死んじゃう。垃圾さんが、死んじゃうよ」
「お前を放っておいたらどっちみち双歌に斬られる・・・」
ふ、と笑う彼。
「いいから黙ってここにいろ。
お前を傷つけさせたりしない、俺だってみすみす死ぬつもりもない」
「ゃだ・・・やだよう。私のせいで垃圾さんが傷つくなんていやだ・・・」
私の願いは聞き入れられず、無情にも水が彼の血液を、体温を奪い続ける。
ずるずると・・・だんだんと倒れていく体。
彼を自分の後ろへ。
杖に魔力を込め、少しでも数を減らそうと魔法を放つ。
焼け石に水、そんな言葉が当てはまるかのような光景。
自分の魔力だってそんなに残っていない。体力だって奪われ続けている。
けれど、私を守ってくれた人を。
絶対に失いたくない人を。
今戦わなければ失ってしまう。
魔力が尽きて、杖にヒビが入る。
「・・・・・・・・垃圾!椿姫!」
敵が一掃される。ソードマンのスキル、旋風剣だ。
「そ・・・」
そのまま垃圾と共に抱えられる。
マリオネットに憑依してスキルを発動する彼女。
「インビジブル!」


そのまま外まで走った。
双歌さんが一緒に連れてきたらしい、外で待っていたウァテスさんが
垃圾さんにリザレクションを施す。
垃圾さんの顔に色が戻り、私はほっと息をついた。
「さて・・・聞きたいことは山ほどあるんだけど・・・」
双歌さんが口を開く。
「まず椿姫はどうしてこんなところに?」
「聖堂の司祭様に・・・大陸の洞窟にアンデッドが発生していると伺って」
光魔法が通じる敵だから力を付けるのに良いのではないか、そう思った、と答える。
「で・・・このドミさんがこういう状況なのは君を庇った、ということだね?」
ウァテスさんが尋ねる。
「垃圾も一人で追いかけないで僕にも言えよ・・・。
 ダウンタウンでキャパシティ超えの荷物を持たせて動けなくするは、1人で無茶するは!
 1人で無茶するのは椿姫も!!!
 このウァテスさんがいなかったら僕だって来れなかったんだからね!」
曰くウァテスさんはダウンタウンで動けない双歌さんの荷物を運ぶのを手伝い、フレンドリストを見たら大陸の洞窟へ向かっている私たちの様子がわかって急遽向かう双歌さんについてきてくれたそうだ。
「いやいや。タイツを履いている困ってる人は放ってはおけないよ」
そう言って ははは、と笑う彼はニットタイツに虎マスクという何ともウァテスには見えない格好をしていた。
「で、君は椿姫・・・だったね。
 うちも同じ道を進んでいる者だから君の気持ちを少しは理解できると思う。
 強くなりたい、という気持ちは誰にでもあるよ。でも・・・」
仲間を傷つける結果を生む行動はいけない。
彼女は心から君を心配し、彼も心から君を守りたいと動いた。
こんなに思ってくれる仲間がいるのだから、と彼は言った。
垃圾さんが目を開けて、言う。
「何かあったら俺や双歌に言え。1人で考え込むな」
「っふぇ・・・・・・・・・はぃ・・・」
涙が止まらなかった。
こんなに、こんなに心配してくれたのに。
こんなに、こんなに護ってくれていたのに。
それに気づけなかった自分が情けなくて。
「ごめんなさぃ・・・双歌さん、垃圾さん・・・」
涙で顔はぐしゃぐしゃだろう。
「『ごめんなさい』じゃないよ。あと、ずっと気になってたんだけど『さん』はいらない」
微笑む彼女。涙を拭いて私は言葉を紡いだ。
「『ありがとう』・・・双歌、垃圾」



結局アクロニアに帰るまでに体力が戻らなかった垃圾は双歌に引きずられながら連れて帰られて。
様子を心配してお見舞いに来てくれたウァテスさんと気が合ったようで後日お話をしている姿が見れた。
ウァテスさんは、いつでもニットタイツと虎マスクを装備していて。
見かけたときは「ナイスタイツ!」と挨拶をしてくれる。
いつの日か彼が皆からナイスタイツの伝道師と呼ばれることになるのは、また後のお話。
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